東京都「働きやすい職場環境づくり推進奨励金」とは?

東京都-働きやすい職場環境づくり推進奨励金

東京都が提供する「働きやすい職場環境づくり推進奨励金」は、中小企業が従業員の育児や介護、病気治療、ライフイベントとの両立を支援する取り組みを促進するための助成金です。

働きやすい職場環境を整えることは、従業員の定着率向上や業務効率の向上にも寄与し、企業の成長にも繋がります。

東京都内で事業を営む中小企業が対象となっており、育児や介護、病気治療などさまざまなライフステージに対応した職場環境を整えるための支援が行われます。

この記事では、この奨励金の詳細な内容、申請の流れ、そして申請を行う際のポイントについて詳しく解説します。

働きやすい職場環境づくり推進奨励金の目的

東京都は少子高齢化に直面しており、中小企業でもライフワークバランスの改善が求められています。

この奨励金制度は、従業員が育児・介護・病気治療と仕事を両立できる環境を整えることで、企業の魅力を高め、人材確保や職場定着を支援するために設けられました。

  • 育児・介護と仕事の両立支援
    働く親が安心して仕事を続けられる制度整備
  • 病気治療と仕事の両立支援
    病気治療中の従業員が柔軟に働ける環境整備。
  • ライフイベントと仕事の両立支援
    ライフステージに応じた柔軟な働き方を可能にする支援。

このような制度を導入することで、従業員が長期にわたり安心して働ける環境を作り、中小企業が従業員を大切にする姿勢を示すことができます。

奨励金を利用した企業のメリット

働きやすい職場環境を整備することは、企業にとって多くのメリットをもたらします。

  • 従業員の定着率向上
    ライフステージに合わせた制度を整えることで、従業員が長期間安定して働くことができ、離職率の低下が期待されます。
  • 企業のイメージ向上
    働きやすい職場環境を提供している企業としてのブランド力を高めることができ、優秀な人材を引き寄せる力になります。
  • 生産性の向上
    従業員が安心して働ける環境を整えることで、モチベーションが向上し、生産性の向上につながります。

奨励金の対象となる事業

この奨励金は、以下のプランとコースに沿った取り組みを行う企業に支給されます。複数のコースを組み合わせることで、最大120万円の奨励金が支給される可能性があります。

I プラン:働きやすい職場環境づくり推進プラン(上限100万円)

Aコース:育児と仕事の両立推進コース

  1. 育児と仕事の両立制度整備事業
    育児休業制度の整備やジョブリターン制度を導入することで、育児中の従業員が柔軟な働き方を選べるようにする。
  2. 男性の育児参加推進事業
    男性の育児参加を促進するための制度を導入し、育児に関わる男性従業員を支援。
  3. 育児中の従業員のための多様な働き方整備事業
    育児中の従業員が各自の状況に応じた働き方を選択できるよう、法を上回る育児支援制度を整備。
A 育児と仕事の両立推進コース
概要上限額
①育児と仕事の両立制度整備事業育児と仕事の両立支援のための休暇制度等を新たに整備20万円
上記に加え、ジョブリターン制度を整備20万円
②男性の育児参加推進事業男性の育児参加を推進するための目標や取組内容を設定20万円
③育児中の従業員のための
多様な働き方整備事業
育児中の従業員が各自の状況に応じた柔軟な働き方を選択できるよう、法を上回る育児休業制度や子育て支援制度等を新たに整備40万円
上記に加え、ジョブリターン制度を整備20万円

Bコース:介護と仕事の両立推進コース

  1. 介護と仕事の両立推進事業
    介護中の従業員を支援するため、社内に相談窓口を設置し、介護休業制度や介護サービス利用支援制度を導入。
  2. 介護離職防止のための制度整備事業
    介護中の従業員が仕事と介護を両立できるよう、柔軟な働き方を提供するための制度を整備。
B 介護と仕事の両立推進コース
概要上限額
①介護と仕事の両立推進事業介護と仕事の両立に関する相談窓口を社内に設置し、取組計画を策定40万円
②介護離職防止のための制度整備事業(B①を実施した場合に、実施可能)介護中の従業員が各自の状況に応じて柔軟な働き方ができるよう、法を上回る介護休業制度や介護サービス利用支援制度等を新たに整備40万円
上記に加え、ジョブリターン制度を整備20万円

Cコース:病気治療と仕事の両立推進コース

  1. 病気治療と仕事の両立支援制度整備
    病気治療を行う従業員が無理なく仕事を続けられるよう、休暇制度や短時間勤務制度を整備。
C 病気治療と仕事の両立推進コース
概要上限額
病気治療と仕事の両立に関する相談窓口を社内に設置し、病気治療のための休暇制度や多様な勤務形態制度等を新たに整備20万円
上記に加え、ジョブリターン制度を整備20万円

II プラン:ライフイベントと仕事の両立スキルアップ応援プラン(上限20万円)

ライフイベント(育児や介護など)と仕事を両立するためのスキルアップを支援する制度を整備する企業が対象です。

ライフイベントと仕事の両立スキルアップ応援プラン
概要上限額
育児等のライフイベントと仕事を両立できるようスキルアップ支援制度を新たに整備20万

奨励金の交付額と組み合わせパターン

交付額

各プラン・コースの組み合わせによって支給額が決まります。

  • Iプラン単独実施
    上限100万円
  • Ⅱプラン単独実施
    上限20万円
  • IプランとIIプランの組み合わせ実施
    上限120万円

これらのプランの組み合わせにより、企業はより幅広いサポートを受けることが可能です。特に、育児・介護・病気治療の制度を複数導入することで、働きやすい環境を一層整えることができます。

奨励対象事業者の要件

奨励金を申請する企業には、いくつかの要件があります。以下に奨励対象事業者の要件(その1)と(その2)を詳しく説明します。

奨励対象事業者の要件(その1)

  1. 都内で事業を営む中小企業等であること
    労働者数が300人以下であり、東京都内に本店、支店、営業所などを持つことが条件です。法人税法別表2に該当する「公益法人等」や労働者協同組合も対象となります。
  2. 常時雇用する労働者が2名以上いること
    そのうち1名は6か月以上継続して雇用され、かつ雇用保険に加入していることが必要です。
  3. 男性従業員の雇用があること(プランAコース②実施の場合)
    育児参加推進の取り組みが行われる際に、男性従業員の雇用が必須です。
  4. 就業規則を作成し、労働基準監督署に届出をしていること
    労働者が10名未満でも届出が必要です。
  5. 賃金や労働時間などの法令を遵守していること
    地域の最低賃金を守り、固定残業代や労働時間の規制を遵守することが求められます。
  6. ハラスメント防止措置が講じられていること
  7. 都税の未納がないこと
  8. 重大な法令違反がないこと
    過去5年間に労働基準法や消費者保護法に違反していない企業のみが申請可能です。
  9. 風俗営業等の規制に違反していないこと
  10. 暴力団との関わりがないこと
  11. 再申請は同一企業であること
    本奨励金の利用または申請経験がある代表者が、令和6年度に新たなプランや事業を申請する際は、同一企業からの申請である必要があります。
  12. ジョブリターン制度を整備する場合、過去に類似の奨励金を利用していないこと
  13. テレワーク制度が明文化していること
    テレワーク東京ルール実践企業宣言」制度に登録していること。ただし、フレックスタイム制又は時差勤務を既に導入し就業規則等に規定している場合は不要です。
  14. 企業情報の公表に同意していること

奨励対象事業者の要件(その2)

全プラン共通の要件

  • 令和6年度の同時期に、東京都働きやすい職場環境づくり推進専門家派遣を受けていないこと
  • 同一の事由による助成金等を他の国・自治体から受給していない、又は受給する予定がないこと
  • 申請が過去に行われた場合、実施プランが異なること

プランごとの主な個別要件

Ⅰプラン 働きやすい職場環境づくり推進プラン

育児と仕事の両立推進コース

  • 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の届出が必要。
  • ジョブリターン制度や、新たに整備する制度が就業規則等又は労働協約に定められていないこと。

介護と仕事の両立推進コース

  • 新たに相談窓口や介護サービス利用支援制度を整備することが条件。
  • ジョブリターン制度や、新たに整備する制度が就業規則等又は労働協約に定められていないこと。

病気治療と仕事の両立推進コース

  • ジョブリターン制度や、新たに整備する制度が就業規則等又は労働協約に定められていないこと。

Ⅱプラン ライフイベントと仕事の両立スキルアップ応援プラン
  • 新たに整備する制度が就業規則等又は労働協約に定められていないこと。

申請の流れ

奨励金を申請するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここではその流れを簡潔にまとめます。

事前エントリー

「TOKYOはたらくネット」から企業担当者が事前エントリーを行います。エントリーは先着順ではなく、予定社数を上回った場合には抽選が行われます。

申請可能企業の決定

抽選の結果、申請可能企業にはメールで通知が届きます。

交付申請

書類を郵送で提出します。交付申請書類には、委任状が必要な場合があります。

奨励事業の実施

交付決定後に事業を実施し、終了後に実績報告書を提出します。

奨励金の支給

実績報告に基づき、交付額が確定し、奨励金が支給されます。

申請時の注意点

申請を行う際に注意すべきポイントを以下にまとめます。

  1. 事前エントリーは必須
    事前エントリーが行われなければ、申請自体ができません。エントリーはオンラインで行い、抽選により申請可能企業が決まります。
  2. ジョブリターン制度の整備が加算対象
    いずれのプランやコースにおいても、ジョブリターン制度を導入することで、奨励金額が追加される可能性があります。
  3. 研修会参加の義務
    対象となる企業は、オンラインで開催される「東京都働きやすい職場環境づくり推進研修会」などに参加する必要があります。研修への参加は、奨励金支給の前提条件の一つとなります。

年間のスケジュール

「働きやすい職場環境づくり推進奨励金」の申請受付は、5回に分けて行われます。

企業は各回の事前エントリー受付日に事前エントリーを行い、必要書類を提出することで申請が可能です。

エントリー回事前エントリー受付日
※時間は全日10時~15時
申請書類提出期限交付決定日予定者数
ⅠパターンⅠ+Ⅱパターン
第1回6月4日、6月5日7月2日8月1日110社20社
第2回6月27日、6月28日7月26日9月1日130社35社
第3回7月30日、7月31日8月28日10月1日130社30社
第4回8月29日、8月30日 9月30日11月1日105社10社
第5回9月30日、10月1日10月29日12月1日25社5社

事前エントリーは先着順ではありません。

応募が予定社数を超えた場合は受付期間終了後に抽選を行います。

最後に

東京都「働きやすい職場環境づくり推進奨励金」は、育児や介護、病気治療などのライフイベントをサポートするための重要な制度です。

中小企業にとっても、従業員が安心して働ける環境を整えることは、企業成長に欠かせない要素です。

この奨励金を活用して、より多様な働き方を支援し、従業員の定着率や生産性向上を目指しましょう。

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