東京都「ES(社員満足度)向上による 若手人材確保・定着事業助成金」 - 福利厚生を強化し、若手人材の採用・定着を実現

東京都が提供する「ES(社員満足度)向上による 若手人材確保・定着事業助成金」は、中小企業が従業員満足度を高め、若手人材の採用や定着を促進するために活用できる助成金制度です。

従業員の働きやすさを向上させるための福利厚生施策として、住宅補助、食事提供、健康増進サービスの3つの事業をサポートしており、年間最大300万円まで助成を受けることができます。助成対象期間は最長3年間で、若手人材の長期的な定着を実現することが期待されます。

本記事では、助成金の詳細な内容や申請要件、活用方法について具体的に解説します。特に、若手人材の確保に課題を抱える企業にとって、必見の内容です。

助成金の概要

東京都が実施している「ES(社員満足度)向上による 若手人材確保・定着事業助成金」は、企業が従業員満足度(ES)を向上させるために、福利厚生を充実させる取り組みに対して助成を行うものです。

若手人材の採用が難しい中小企業にとって、この助成金を活用することで、福利厚生を通じて働きやすい職場環境を整備し、従業員満足度を高めることができます。

若手従業員(35歳未満)は、特に職場の福利厚生や働きやすさを重視する傾向が強く、企業が従業員のニーズに応えるためには、充実した福利厚生が重要です。

この助成金制度を利用することで、企業は従業員の生活や健康をサポートし、結果的に企業全体のパフォーマンス向上に繋がる効果が期待されます。

助成対象事業

「ES向上による若手人材確保・定着事業助成金」の特徴は、3つの具体的な福利厚生事業のうち、2つ以上を選択して取り組むことが必要である点です。

助成対象となる事業には、住宅補助、食事提供、健康増進サービスが含まれます。それぞれの事業内容について詳しく見ていきましょう。

ここでいう「従業員」とは、助成対象事業者と雇用契約を交わし、業務に従事する者をいいます。 したがって派遣労働者は含まれません。

住宅の借上げ

住宅の借上げは、事業者が若手従業員の採用・定着を目的として、共同住宅の一室等を借り上げ、社宅として若手従業員に新たに提供することです。

特に若手従業員にとって、住居費は家計の中で大きな負担となる項目であり、企業によるサポートは、従業員にとって大きな安心感をもたらします。

従業員の生活が安定し、仕事に集中できる環境が整うことで、若手従業員の定着率が向上し、離職を防ぐ効果が期待されます。住宅補助は、従業員満足度を直接的に向上させる重要な施策です。

食事等の提供

食事等の提供は、事業者が若手従業員の採用・定着を目的として、従業員のために継続的かつ定期的に食事等を新たに提供支援することです。

従業員の健康をサポートするために、社内食堂を設置したり、宅配弁当を提供したりすることが含まれます。栄養バランスの取れた食事を提供することにより、従業員の健康が改善され、欠勤率の低下や生産性の向上に繋がります。

また、食事提供は従業員同士のコミュニケーションを促進する効果もあり、職場の雰囲気を明るくし、職場内の連携やチームワークを強化することにも寄与します。健康的な食事は、従業員の活力を維持するために欠かせない要素です。

なお、新たな提供とは、以下の分類に基づき、同じ分類に属さないサービスを提供することをいいます。

分類概要
置き型フード販売置き型コンビニ、自動販売機(食べ物)
専用機械による飲料提供ウォーターサーバー 、給茶機、コーヒーマシン、自動販売機(飲み物)
弁当類の定期的な配達弁当の定期配達、飲料の定期訪問による販売
弁当類の定期的な社内販売弁当販売業者による事業所内での弁当販売
出張型食堂事業所内でのケータリング形式での食事等の提供(設備工事を伴うものは除く。)

健康増進サービスの提供

健康増進サービスの提供は、事業者が若手従業員の採用・定着を目的として、従業員のために健康増進に係る支援を、新たに提供することです。

従業員の心身の健康をサポートするために、フィットネスプログラムの導入や定期的な健康診断、メンタルヘルスケアなどが含まれます。

従業員の健康が維持されることで、仕事に対する集中力やモチベーションが高まり、結果として職場全体のパフォーマンスが向上します。また、メンタルヘルスケアは、ストレスの軽減に効果的であり、従業員の精神的な安定を確保するためにも重要です。

なお、新たな提供とは、以下の分類に基づき、同じ分類に属さないサービスを提供することをいいます。

分類概要
事業所内での実技講座運動が主のもの。ヨガ等
事業所内での座学講座健康(正しい姿勢によるVDT作業、高血圧予防など)をテーマにしたセミナー等
法定外項目に係る健康診断の実施
法令で義務付けられていない産業医等の面談、ストレスチェック等の実施治療・施術の類を除く。
事業所内で設置・使用する健康器具娯楽性の強いものを除く。

「ES向上による若手人材確保・定着事業助成金」に対応した各種研修・セミナー

弊社では、職場の健康課題に合わせ、「ES向上による若手人材確保・定着事業助成金」に対応した各種研修・セミナーを実施しております。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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助成率と助成限度額

助成金の助成率は、対象経費の1/2であり、企業が行う福利厚生事業にかかる費用の半分が助成されます。

また、助成限度額は、選択した事業ごとに異なりますが、2つ以上の事業を選択して取り組むことで、年間最大300万円まで助成を受け取ることが可能です。

助成金は年間最大300万円まで支給されるため、企業は複数の事業を選択して組み合わせることで、最大限のサポートを受けることができます。

取り組み概要助成率助成限度額
住宅の借上げ35歳未満の従業員を対象とした住宅の借上げ対象経費の1/2最大200万円/年
食事等の提供職場での食事等を提供するサービスの導入最大50万円/年
健康増進サービスの提供従業員の健康増進を目的とするサービスの導入最大50万円/年

対象となる経費

対象経費(詳細)

取組み対象となる経費
住宅の借上げ借上げ住宅の家賃、管理費(共益費)

・ただし、1戸当たり月82,000円(管理費・共益費含む)を上限(1戸につき41,000円/月が助成限度額)とします。
礼金、更新料、仲介手数料

・ただし、それぞれ1戸につき1回限り、82,000円(1戸につき41,000円が助成限度額)を上限とします。
・仲介手数料については、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第46条の規定による仲介手数料の限度額の範囲内に限ります。
食事等の提供食事等の提供に係るサービスの利用料、初期導入費用、配達料
 ※契約に基づく継続的かつ定期的なサービスの利用に限ります。

食事等の提供に係るサービスの利用料、初期導入費用、配達料
 ※契約に基づく継続的かつ定期的なサービスの利用に限ります。
上記①に伴う設備のレンタル又は購入費用
 ※汎用性があり、助成対象事業の目的以外で使用できる設備については対象外です。
上記①に係る飲食代
 ※一人当たりで換算した飲食の提供量及び価格が、社会通念上相当と認められるものであること
その他、食事等の提供に必要な費用で、財団理事長が適当と認めたもの
健康増進サービスの提供健康増進に係るセミナー・研修等の実施費用
 例:出張トレーニングプログラム、健康に関する研修の実施費用
法令等で義務付けられていない健康診断、産業医等の面談、ストレスチェック等の実施費用
※治療・施術に類するものは対象外です。

・35歳以上のみを対象とするものでも可
 例:法定外項目に係る健康診断の実施費用、法定外の産業医面談実施費用、従業員50名未満の事業場におけるストレスチェックの実施費用等
都内事業所に設置・使用する健康器具の購入又はレンタル費用
 ※娯楽性の強いものは対象外です。
その他、健康増進サービスに必要な費用で、財団理事長が適当と認めたもの

対象外経費(詳細)

取組み対象とならない経費
全事業共通助成金支給要綱第16条第1項及び第4項の支給申請に係る支給決定日より前に契約を締結しているもの。
ただし、助成対象期間が1年を超える場合において、1年目の支給決定後又は2年目の支給決定後に、それぞれ本助成金の助成対象事業として契約中のものは除く。
消耗品(使用可能期間が1年未満の事務用品、日用品等)
間接経費(税金等の公租公課、振込手数料等)
中古品の購入費
電気代、ガス代、水道代、通信回線費等
他の事業と助成対象事業とに明確に区分できない経費
現金又は口座振込以外の方法により支払われた経費
ただし、売主側の事情により上記の支払方法が選択できず、やむを得ず法人名義のクレジットカードにより支払う場合を除く。
親会社、子会社、グループ企業等関連会社(資本関係のある会社、役員を兼任している会社、代表者の親族(三親等以内。以下同様)が経営する会社等)、代表者の親族(個人)との取引
自社の売り上げとなる経費
2か年以上にわたり実施する事業で、実施する事業および経費が各年に区分できないもの
解約時の解約手数料、違約加算金等
各種保険料
事業主の負担割合が50%未満の費用
購入時等にクレジットカードやポイントカード等の利用により付与されるポイント分
見積書、契約書、発注書、納品書、領収書、振込明細等の経費関係帳票類が不備のもの
社会通念上助成対象とすることがふさわしくないと財団理事長が判断した経費
住宅の借上げ敷金、保証金
生活に必要な備品の取得又はレンタル費用
 例:洗濯機や冷蔵庫のレンタル費用 等
引っ越し費用
入居時又は退去時の清掃代、鍵交換代等
駐車場代、駐輪場代
住宅の購入又は建設費用
 ※助成対象事業者が所有する住宅は対象外です。
既存住宅の改修費用
食事等の提供会議室等に備えておく軽食等の購入費用
 例:会議用のお茶菓子、お茶、弁当の購入費用 等
会議室等に備えておく軽食等の購入費用
 例:会議用のお茶菓子、お茶、弁当の購入費用 等
都内事業所(屋内)以外で提供される食事に係る費用(例:飲食店、キッチンカー、小売店での購入品 等)
食堂、キッチン等の新設又は改修費用
ランチバウチャー等の金券手配費用
健康増進サービスの提供娯楽性の強いスポーツイベント等に係る経費(例:ボーリング大会、ゴルフ 等)
各種予防接種の接種費用
健康診断の結果に対する二次検診費用
スポーツジムの利用費
健康管理に資する資格の取得支援費用
治療・施術の類の費用
マッサージ、美容エステの利用費
サプリメント、栄養ドリンク等の購入費

助成対象期間および助成金支給申請期間

助成対象期間は、1年目の支給決定日から起算して最長3年間です。この期間内に、選択した福利厚生事業を継続的に実施することが求められます。助成金の支給申請は、毎年行う必要があり、適切な実績報告を行うことで翌年の助成を受けることが可能です。

企業は、最初に立てた計画に基づいて、福利厚生の充実を長期的に進め、従業員の満足度を高め続けることが重要です。3年間という長期的な支援を受けることで、企業は安定的に福利厚生を充実させ、効果を持続的に享受することができます。

助成対象事業者の12の要件

助成金を受け取るためには、企業が以下の12の要件を満たしている必要があります。

  1. 若手従業員の割合
    従業員全体に占める35歳未満の若手従業員の割合が30%以下であること。
  2. 若手採用数
    過去3年間における若手従業員の合計採用数が、全従業員数の10%以下であること。
  3. 求人活動の実施
    過去1年間に若手人材を対象とした求人活動を行っていること。
  4. 都内の中小企業であること
    東京都内に本社または事業所があり、東京都の基準に基づく中小企業であること。
  5. 常時使用従業員
    助成対象事業者は、パートやアルバイトを含め、常時使用する従業員を有していること。
  6. 事業の継続性
    助成金の活用後も、福利厚生を継続して提供できる企業であること。
  7. 過去の助成実績
    過去に同様の助成金を受けていない、または受けた場合でも、同じ内容での申請はできない。
  8. 反社会的勢力との関与がないこと
    企業が反社会的勢力と関わりを持たないことが確認できること。
  9. 財務健全性
    助成金の支給により、企業が財務的に健全な状態を維持できること。
  10. 環境保全に配慮した事業運営
    企業が環境保護に配慮した事業運営を行っていることが望ましい。
  11. 企業の社会的責任(CSR)を果たしていること
    企業が社会的責任を果たし、地域社会への貢献を行っていることが評価される。
  12. 法令遵守
    企業が労働基準法をはじめとする法令を遵守し、健全な事業運営を行っていること。

助成金申請の流れ

助成金を申請するためには、以下の手順に従って申請を進める必要があります。

事前エントリー

まず、企業は東京都の専用ウェブサイトから事前エントリーを行います。事前エントリーの期間は年に数回設けられており、この期間内にエントリーを行わないと助成金の申請ができません。定期的にエントリーのスケジュールを確認し、計画的に準備を進めることが重要です。

取組計画の作成

事前エントリーが完了したら、企業は従業員満足度向上のための取組計画を作成します。この計画には、選択した2つ以上の福利厚生事業の詳細な内容、実施スケジュール、予算、期待される効果などを記載します。計画はできるだけ具体的で、現実的な内容にすることが求められます。

申請書類の提出

次に、作成した取組計画を含む申請書類を東京都に提出します。この申請書類には、企業の基本情報や過去の従業員採用状況、福利厚生の実施内容が含まれます。提出書類が不備なく整っていることを確認することが重要です。

専門家の派遣とサポート

申請が受理されると、東京都から専門家が派遣されます。この専門家は、企業の福利厚生導入計画をサポートし、実施がスムーズに進むようにアドバイスを提供します。専門家の支援により、企業は安心して取り組みを進めることができます。

取り組みの実施と報告

企業は、選択した2つ以上の福利厚生事業を計画に基づいて実施します。取り組みが進行している間、企業はその進捗状況を東京都に報告する必要があります。報告内容には、事業の進捗や従業員の反応、実施による効果などが含まれます。

報告が適切に行われれば、助成金が支給されます。これを毎年繰り返し、最大3年間にわたって助成を受けることが可能です。

スケジュール

助成金のスケジュールは下表の通りです。

事前エントリーは、一助成対象事業者につき1回限りです。

ただし、事前エントリーの抽選の結果、 当選できなかった助成対象事業者は次回以降の回の事前エントリーにお申込みいただけます。

エントリー回事前エントリー受付期間専門家派遣予定者数
第1回令和6年5月1日(水)9時 ~ 令和6年6月3日(月)17時年間で60社

※各回定員あり
第2回令和6年6月4日(火)9時 ~ 令和6年7月1日(月)17時
第3回令和6年7月2日(火)9時 ~ 令和6年7月31日(水)17時
第4回令和6年8月1日(木)9時 ~ 令和6年9月2日(月)17時
第5回令和6年9月3日(火)9時 ~ 令和6年9月30日(月)17時
第6回令和6年10月1日(火)9時 ~ 令和6年11月15日(金)17時

助成金を活用した成功事例

プレゼンティーズム・アブセンティーズムを改善するメリット

東京都の「ES向上による 若手人材確保・定着事業助成金」を活用した成功事例をいくつか紹介します。

住宅補助制度と健康増進サービスで定着率向上

東京都内のある製造業の中小企業A社は、住宅補助と健康増進サービスの2つを同時に導入しました。

従業員の住居費を企業が一部負担し、さらにフィットネスプログラムを提供することで、従業員の生活と健康が安定。

これにより、若手従業員の離職率が大幅に低下し、定着率が向上しました。

社員食堂とメンタルヘルスケアで生産性向上

別のIT企業B社では、社内食堂を設置し、従業員に栄養バランスの取れた食事を提供しました。

また、メンタルヘルスケアプログラムを導入することで、従業員のストレスが軽減され、集中力が向上しました。

この結果、欠勤率が減少し、生産性が大きく向上しました。

健康増進サービスと食事提供で職場の雰囲気を改善

サービス業の企業C社では、フィットネス講座と社内食堂を設置し、従業員の健康意識を高めました。

従業員同士が食事の時間を共有することで、コミュニケーションが活発化し、職場の雰囲気が大幅に改善されました。

従業員同士のつながりが強化され、職場全体のモチベーションが向上しました。

福利厚生の充実がもたらす効果

福利厚生を充実させることで、企業は従業員満足度を高め、従業員の定着率を向上させることができます。

特に若手従業員にとって、福利厚生の充実は働きやすさに直結する重要な要素です。

充実した福利厚生は、従業員のモチベーションを向上させ、企業全体のパフォーマンスを引き上げるための強力なツールとなります。

最後に

東京都の「ES(社員満足度)向上による 若手人材確保・定着事業助成金」は、若手人材の採用や定着に課題を抱える中小企業にとって非常に有効な支援制度です。

2つ以上の福利厚生事業を選択して取り組むことで、年間最大300万円の助成金を受け取ることができ、最長3年間のサポートを受けることが可能です。

住宅補助制度、食事提供、健康増進サービスを通じて従業員の満足度を高め、企業の成長を促進しましょう。

助成対象事業者の要件を確認し、計画的に福利厚生を導入することで、若手人材の定着率向上に大きく寄与することが期待されます。

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