職場における「頭痛」の予防・対策

職場における頭痛の予防・対策-片頭痛-緊張型頭痛

頭痛に悩まされている方で、職場や家庭での理解が得られず辛い思いをされている方もいるのではないでしょうか?

怪我をしていたり発熱したり、外見や体温などの数値ではっきりわかる病気でない頭痛は第三者に伝わりにくい症状ですので、「たかが頭痛」「また頭痛?」といわれてしまう事もあるかもしれません。

しかし、職場や家庭からの理解が得られにくいことは、無理をすることによる心身のストレスは症状の更なる悪化を招き悪循環となっている場合も多いです。

そのため、本記事では、頭痛がどのようもので、本人や職場に与える影響、そのために取るべき予防・対策を説明していきます。

頭痛の詳細について触れていく前に、頭痛を感じている人の数、頭痛があることで職場における仕事のパフォーマンスに与える影響について触れていきます。

頭痛の自覚症状

厚生労働省の令和元年国民生活基礎調査では、病気・けがなどで自覚症状がある人の割合(有訴者率)で頭痛が女性5位(50.6)、男性は18位(21.9)となっており、女性に多い傾向があります。

後述しますが、「緊張型頭痛」では肩こりが大きく影響しますが、肩こりは男性2位、女性1位となっています。

労働生産性(プレゼンティーズム)の低下

2018年に発表された国内の労働者の生産性を低下させる原因を調査した結果では、労働生産性低下による一人あたりの年間損失額は第1位が「肩こり」第2位が「睡眠不足」第3位が「腰痛」で、第8位が「頭痛」となっています。

尚、ここでいう労働生産性(プレゼンティーズム)の低下とは、会社に出勤はしているが、心身の不調によりパフォーマンスが上がらない状態によること。

※調査時の2014年の平均為替レートで1米ドルは105.9448円で換算して算出

頭痛の種類

頭痛の種類は非常に多岐にわたりますが、大きく分けると「一次性頭痛」と「二次性頭痛」のどちらかとなります。

一次性頭痛

一次性頭痛は、頭痛そのものが病気(=治療対象)となるもので、以下の3つとなります。

  • 緊張型頭痛
  • 片頭痛
  • 群発頭痛
表1:一次性頭痛(緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛)の比較(概要)
緊張型頭痛片頭痛群発頭痛
緊張型頭痛片頭痛群発頭痛
なりやすい人女性の方がやや多い20~40歳代の女性に多い20~30歳代の男性に多い
痛む場所頭の両側主に頭の片側(両側の時もある)頭の片側の目の奥
痛み方締め付けられる、圧迫されるような痛みズキンズキンと脈打つ痛み突き刺される、えぐれるような痛み
痛みの強さ比較的軽い~中等度中等度~かなり強い極めて強い
動作時動いても変わらない動くと痛みが増す痛くてじっとしていられない
頭痛以外の症状肩こり、めまい、目の疲れ、耳鳴り など吐き気、嘔吐、光や音に敏感になる など涙が出る、目の充血、鼻水、鼻詰まり など
痛みの頻度毎日、週に数回数日~1ヶ月に1回程度1~2ヶ月間に集中して毎日
痛み(発作)の持続時間2~3時間1日中(特に夕方強くなる)1~2時間(深夜に起こりやすい)

二次性頭痛

二次性頭痛は、頭痛の原因となる病気があり、その病気の症状の一つとして頭痛が発生しているもので、主に以下となります。

  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 髄膜炎
  • 脳梗塞
  • 脳腫瘍
  • 外傷
  • 感染 など

「二次性頭痛」は、他の原因となる疾患に付随して起きている頭痛であり、疾患の治療をおこないます。そのため、頭痛そのものが治療対象となる「緊張型頭痛」、「片頭痛」、「群発頭痛」について説明していきます。

緊張型頭痛

緊張型頭痛の主な症状は以下のようなものが多く、頭を「ぎゅっ」と締めつけられるような痛みが続く頭痛で、「きついハチマキを締め付けられている」「ヘルメットをかぶっている」「重い感じがとれない」「肩こりから後頭部が重くて張った感じ」など表現は様々です。

尚、片頭痛のような吐き気はあっても実際に吐くことはありません。また姿勢や動作によって頭痛の強さが変化することもあまり認めません。光や音に対する過敏は感じられることもあるようです。

  • 頭の両側か頭全体、後頭部が痛む
  • 頭の両側をギューッと締めつけられるような痛み
  • 吐き気はあっても実際に吐くことはない
  • 体を動かしても悪化しない
  • 仕事に⽀障をきたすほどではない(休むまでの痛みではない)ことが多い
  • 温めたり、体を動かすと良くなる

片頭痛と緊張型頭痛の両方の症状を持ち合わせる合併型もあります。どちらか一方の発作が起こり、どちらの症状が強く出ているか、見極めが難しい場合もあります。

緊張型頭痛のメカニズム

緊張型頭痛は、長時間同じ体勢や無理な姿勢を続けるなどによる身体的ストレスによる筋肉の緊張や、精神的なストレスによる自律神経への影響が起こる頭痛の主な原因です。

筋肉の血流の減少や、筋肉が硬くなることで、血管に老廃物などが溜まることで炎症が起こり、痛み物質であるプロスタグランジンなどが産生されて、頭痛を引き起こすと考えられています。

尚、長時間の同じ体勢や無理な姿勢を続けるパソコン作業(VDT作業)などのうつむく姿勢などは、頭を支えている首や肩の筋肉に大きな負担がかかり、筋肉の緊張から、さらに血流が悪くなり、頭痛が起こってきます(痛みの悪循環)。

肩こり-緊張型頭痛の発生機序(メカニズム)
図3:緊張型頭痛の発生機序(メカニズム)

片頭痛

片頭痛の症状はズキズキと脈を打つような強い痛みで、吐き気や嘔吐を伴うこともあるため、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。緊張型頭痛とは異なり、動いたり温めたりすると痛みが悪化します。

ギザギザした光が見えたり、視野の半分が見えにくくなる(閃輝暗点)症状が出る人もいます。

  • 頭の⽚側に起こることが多い
  • ズキズキと脈を打つような強い痛み
  • 吐き気、おう吐をともなう
  • 我慢できない、仕事に⽀障をきたす
  • ギザギザした光が⾒えたり、視野の半分が⾒えにくくなることがある(閃輝暗点︓せんきあんてん)
  • 光や⾳が気になる
  • 動くと痛みが悪化する
  • 温めると悪化する

片頭痛と緊張型頭痛の両方の症状を持ち合わせる合併型もあります。どちらか一方の発作が起こり、どちらの症状が強く出ているか、見極めが難しい場合もあります。

片頭痛のメカニズム

片頭痛は脳の視床下部が関係していると考えられています。

片頭痛を誘発する刺激により、視床下部で何らかの変化が起こると、顔や頭の皮膚の感覚を伝える三叉神経に炎症が起こったり、脳の血管が拡張して三叉神経を刺激したりして、痛みが起こります(三叉神経⾎管説)。

片頭痛の発生機序(メカニズム)
図4:片頭痛の発生機序(メカニズム)

⽚頭痛を誘発するもの

  • におい:⾹⽔、新⾞のにおい(ゴム、⽪など)、シンナーなど
  • 空腹(低⾎糖)
  • ⼈ごみ
  • 天気(気圧、気温など)
  • アルコール、チョコレートなど(個⼈差あり)

女性の片頭痛

片頭痛は女性に多くみられるのは、肩やくびが男性に比べ華奢なので、くびや肩の筋肉に負担がかかりやすい一因もありますが、以下のようにホルモンの変化が主に関係しています。

  • 思春期ころから増え始め、60歳ごろに減る
  • ホルモンの変化が関係︓⼥性の頭痛の約50%は、⽉経に関連して起こる
  • 卵胞ホルモン(エストロゲン)の急低下により頭痛が起こりやすくなると考えられている
  • エストロゲンが減少する排卵⽇周辺、⽉経2⽇前から⽉経3⽇⽬までに多い
  • 妊娠6か⽉以降は前兆のない⽚頭痛はよくなることが多いが出産するとまた頭痛が起こる
女性ホルモン周期-エストロゲンの減少による片頭痛
図5:女性ホルモン周期(エストロゲンの減少による片頭痛)

エストロゲンの分泌は排卵を前にピークになり、排卵を期に急減します。プロゲステロンとエストロゲンの分泌は排卵期に増加し、月経期減少します。

群発頭痛

群発頭痛は、ある一定の期間(1~2ヶ月)に集中してほぼ毎日起こる頭痛で、必ず頭の片側が痛み、目の奥がえぐられるような激痛が特徴です。

痛む側の目の充血や涙、鼻水などを伴うことがあります。じっとしていられないほどの耐え難い痛みで、男性に多くみられます。

  • 1〜2ヵ⽉間に集中してほぼ毎⽇起こる
  • 痛みは15分から3時間続く
  • 必ず頭の⽚側が痛む
  • ⽬の奥がえぐられるような激痛
  • 痛みと同じ側の⽬の充⾎や涙、⿐⽔などを伴うことがある
  • 痛くてじっとしていられない
  • 耐え難い痛み
  • 男性に多い

群発頭痛のメカニズム

群発頭痛の原因は、まだ明らかにはなっていませんが、様々な説が提唱されています。

一般に「➀視床下部説」「➁三叉神経と血管との関係説」「➂内頸動脈説」「➃ニューロンネットワークの失調」などがありますが、目のすぐ後ろにある太い血管が拡張し、その周囲に炎症が生じて、神経を刺激するために起こると考えられています

頭痛のタイプを知りましょう

予防・対策をするためには、ご自身の頭痛がどのタイプか知る必要があります。

危険な頭痛である二次性頭痛を除外

先ずは「危険な頭痛」である二次性頭痛(脳⾎管障害など)を除外します。以下のポイントが多く該当し異常を感じるようなら、急いで医師を受診するなど、救急搬送の手配を含めすぐに行動してくださいできるようにしましょう。

危険な頭痛(⼆次性頭痛)かどうかを疑うポイント

  • 突然起こる頭痛
  • 経験したことのない頭痛
  • いつもと様⼦の違う頭痛
  • 悪化傾向の頭痛
  • 50歳以上で初めて頭痛を経験した
  • ⿇痺、ものが⼆重にみえる、⾔葉が出ない、意識障害、けいれん、発熱などを伴う場合

自身の頭痛のタイプをチェック

(⼀社)⽇本運動器疼痛学会によれば、以下の表においてチェックの数が多いものが、ご自身の頭痛のタイプです。

また、同じ位の数の場合は⽚頭痛と緊張型頭痛の合併型の可能性があります。

表2:一次性頭痛(緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛)のチェック項目
緊張型頭痛片頭痛群発頭痛
チェック項目□頭が締め付けられるような、重いような痛み
□頭の両側が痛む
□動いても痛みは強くならない
□吐き気やおう吐はない
□光または⾳のいずれか⼀⽅が煩わしく感じることがある
□痛みは30分のこともあれば毎⽇続くこともある
□仕事を休むほどではない
□⼊浴や飲酒で楽になることが多い
□ときどき起こる
□ズキンズキンと脈打つような痛み
□痛みは頭の⽚側が多いが両側が痛むこともある
□動くと痛みが増す、またはじっとしているほうが楽
□光と⾳がわずらわしい
□吐き気を感じたり吐いたりすることがある
□痛み⽌めを飲まないと痛みは〜72時間続く
□頭痛が起こる前にキラキラした光やギザギザしたものが⾒え、5-60分ほど続く
□頭痛薬を飲まないと⽣活に⽀障がある
⼊浴したり飲酒で悪化することがある
□⽚⽅の⽬の奥や側頭部に激しい痛みがある
□痛いほうの⽬の充⾎、涙、⿐⽔・⿐づまりなどがある
□痛みのためじっとしていられない
□痛みは15分〜3時間続く
□⼀定期間(2週間から2か⽉ほど)ほぼ毎⽇痛みが起こる(群発期)
□痛みが起こる時期(群発期)に飲酒すると痛みが誘発される

尚、以下に該当する場合は、薬の飲みすぎによる「薬物乱⽤頭痛」の可能性があるとしています。

  • ⽉に15 ⽇以上頭痛がある
  • 痛み⽌めやトリプタン、エルゴタミンなどを⽉に10⽇(薬によっては15⽇)以上、3ヵ⽉を超えて使っている
  • もともと⼀次性頭痛(多くは⽚頭痛)がある

自身の頭痛の傾向を知る

(一社)日本頭痛学会によると、自身の頭痛の傾向を知るために頭痛を記録することが重要であるとしており「頭痛ダイアリー」を提供しています。

頭痛の起こった日時、どのような痛みか(脈打つようか、締め付けられるようか、など)、頭痛はどれくらい続いたか、吐きけや光・音・匂いなどが気になったか、薬を飲んだかどうか、などを記載していただくと、ご自分がどんなときに、どのような頭痛に悩まされるかがわかってきますし、治療を行う医師にもあなたの頭痛の情報がきちんと伝わります。

ご自身はもちろん職場においても、ダウンロードして活用してみましょう。

頭痛ダイアリーの記載方法(一般社団法人 日本頭痛学会)

  1. 1枚が4週間の記録となっており、月曜日からスタートします。頭痛が起こった日付を入れてください。
  2. 月経期間に線を引いてください。
  3. 一マスが1日で、午前・午後・夜に分けてあります。頭痛の起こった時間帯に合わせて、頭痛の程度を3段階(重度 +++・中等度++・軽度+)で記載し,下段に使用した薬剤名と効果(効いたかどうか)を記載してください.効いた場合は薬剤名の略称を○、やや効いたら△で囲んでください。
  4. 影響度のところへは日常生活にどれくらい影響があったかを3段階で記載してください。
  5. MEMOの欄にはずきんずきんとした痛みかどうか、光や音に過敏になったか、吐きけがあったか、などを記載してみてください。頭痛を引き起こしたと考えられること、たとえばイベント、外出、天気、寝すぎ、など気がついたことを書いてください。

予防・対策

一次性頭痛の予防・対策を「緊張型頭痛」、「片頭痛」、「群発頭痛」ごとにまとめました。

緊張型頭痛

緊張型頭痛の目的に応じた予防・対策は表3の通りです。

緊張型頭痛の病態には身体的・精神的ストレスが大きく関係していると考えられており、体を動かしたり、風呂・マッサージなどで血行をよくすることで筋肉の緊張をほぐしましょう。

また、運動や体操をおこなう際は、筋肉の緊張(凝り)を感じる首や肩だけでなく全身の筋肉をバランスよく動かすことが重要です。

表3:緊張型頭痛の予防・対策
目的予防・対策方法
身体的ストレスを減らす正しい姿勢を保ち、長時間同じ姿勢をとり続けないことで、日常生活における筋肉の負担を減らす
精神的ストレスを減らす・環境の変化などによる心配ごとや不安で、睡眠不足や疲労感を自覚するときは、十分な休息を取る。
・趣味やスポーツでストレスを解消する。
血行を促進する入浴(蒸しタオルなどを患部に当てる)、運動、体操、ストレッチ、セルフマッサージなどで筋肉の緊張を緩める
上記で頭痛が改善しない場合・リラクゼーション、マッサージ、はりきゅう治療
・薬物療法(筋肉の緊張を緩和する筋弛緩薬や鎮痛薬のほか、精神的ストレスが大きい場合には抗うつ薬や抗不安薬)

⽚頭痛

片頭痛の痛みの状況に応じた予防・対策は表4の通りです。

痛むときは、風呂やマッサージなどで患部を温めたり血行がよくなることは避けるべきです。

痛みのないときには、筋肉の緊張(凝り)の症状が多くで見られることから、予防のために定期的に体を動かしたり、風呂・マッサージなどで血行をよくすることで筋肉の緊張をほぐしましょう。

表4:片頭痛の予防・対策
状況予防・対策
脈打つようなズキンズキンとした痛みこめかみや首など痛む部分を冷やす
光・⾳過敏・静かで暗いところで安静にする
・サングラス、⽿栓をする
におい過敏・デパートの化粧品・⾹⽔売り場などのにおいが強い場所を避ける
・⾹りの強い柔軟剤を避ける
週末頭痛・休日などに寝すぎない
・夜更かししない
天気(気圧差、気温差)頭痛ダイアリー」で傾向を知る
痛むとき・入浴やマッサージなど患部を温めたり⾎⾏がよくなることは避ける(血管拡張により痛みが増強)
・はりきゅう治療
・薬物療法(血管収縮や鎮痛薬のほか、精神的ストレスが大きい場合には抗うつ薬や抗不安薬)
痛みのないとき(予防・入浴(蒸しタオルなどを患部に当てる)、運動、体操、ストレッチ、セルフマッサージなどで筋肉の緊張を緩める
・リラクゼーション、マッサージ、はりきゅう治療

群発頭痛

群発頭痛に該当する場合は、まずは専門医の診察を受けましょう。

そして、予防・対策は以下の通りです。

  • 専門医の診察が必要
  • ストレスをためない
  • アルコール・喫煙は控える
  • 規則正しい生活を行う 
  • 比較的発作が予想しやすいため、専門医に発作予防薬を処方してもらう
  • 発作時にはトリプタン製剤の投与や⾼濃度の酸素吸⼊
  • 痛みがない時に、適度な運動・リラクゼーション・マッサージ・はりきゅう治療などで自律神経を調整・血流改善体のバランスを整える

参考:マッサージ(あん摩マッサージ指圧)・はりきゅうの効果について

マッサージ(あん摩マッサージ指圧)

マッサージ(あん摩マッサージ指圧)は、整体院やリラクゼーションサロンなどで提供されている慰安的なイメージが強いですが、あん摩マッサージ指圧師という国家資格があります。

そして、あん摩マッサージ指圧師が提供するマッサージには、以下のような症状や疾患に対して治療的な効果が期待できます。

疲労、腰痛、肩こり、だるさ、頭痛、頭重、めまい、耳鳴り、不眠、食欲不振、冷え性、便秘、胃炎、四十肩・五十肩、頚腕症候群、骨折・脱臼・捻挫の後遺症、関節リウマチ、神経痛、末梢神経麻痺、脳血管障害後遺症、がんの疼痛緩和など

はりきゅう治療

「はりきゅう」の効果には、抗ストレス作用・自律神経調節作用・鎮痛作用があり、WHO(世界保健機関)および米国NIH(国立衛生研究所)、英国医師会(BMA)にて認められています。
そのため、代表的な肩こり・腰痛・足のだるさ以外の、出勤時の生産性を低下させている多くの症状(不眠・眼精疲労・アレルギー性鼻炎・頭痛・めまい・胃腸炎・生理痛・更年期障害・冷え性・神経痛・関節痛・心身症やうつ病などのメンタルヘルス症状)に適用できます。
このことから、「はりきゅう」と「マッサージ」を組み合わせることで、多くの症状に対して高い施術効果が期待できます。

職場でできるセルフ予防・対策

職場(オフィス)や自宅でも簡単にできる「頭痛体操」と「頭痛に効くツボ」をご紹介していきます。

頭痛体操

(一社)日本頭痛学会は、は片頭痛の予防、緊張型頭痛の緩和のために「1日2分の頭痛体操」を提供しています。

片頭痛発作が増えると、脳内の頭痛回路が首の後ろにまで伝わり、痛みのしこりを作ります。

頭痛体操は後頸部の筋群をほぐし、脳の痛み調節系に良い刺激を送ります。そのためストレッチ体操で片頭痛が予防されるのです。
また、緊張型頭痛はストレス頭痛ともよばれ、筋緊張を伴います。

頭を支えている首から肩への筋肉に、ストレスにより強い負担がかかり頭痛の原因となります。この結果生じた筋緊張にも頭痛体操が有効です。

頭痛体操のコツ

ここでご紹介する頭痛体操は、首を動かさないことがコツです。首(頸椎)を軸として、肩と腕を左右交互に水平に回します。頸椎がコマの芯になり、その周りのインナーマッスル、コアーマッスルが左右交互に回り、ストレッチ効果があります。

注意

頭をなるべく動かさないように行いましょう。
体操を行っている最中に痛みが激しくなった場合には、すぐに体操を中止してください。
このようなときは体操をしてはいけません。

  • 片頭痛の発作中
  • 激しい頭痛がある
  • 発熱を伴う頭痛がある

1.腕を振る体操(後頸筋を伸ばす)

正面を向き、頭は動かさず、両肩を大きくまわします。
頸椎(けいつい)を軸として肩を回転させ、頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)をリズミカルにストレッチします。

これを2分間おこないます。

首のまわりの筋肉は頭を支えたり、動かしたりします。
長年にわたり頭を支えているためこの筋肉には疲労がたまり、硬くなります。
これが頭痛の原因の1つとなります。頭痛体操は頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)をストレッチします。
筋肉のこりや疲れをとり、頭痛を和らげましょう

2.肩を回す体操(僧帽筋を伸ばす)

ひじを軽く曲げ、肩を前後に回します。
前に回すときはリュックサックを背負うような感覚で、後ろに回すときは洋服を脱ぐような感覚で肩を回します。

これを6回繰り返します

3.オフィスでもできる体操(椅子に座ったままで)

椅子に腰掛け、両足をそろえ顔を正面に向けたまま左右の 肩を交互に前に突き出すように体を回します。

頭痛に効くツボ

職場(オフィス)や自宅でも簡単にできるような、頭痛に効く代表的なツボをご紹介していきます。

ツボの刺激方法は、以下の方法から、部位に合わせてやりやすい方法をで、押す、こする、揉む(ツボを押しながら、回して動かす)、叩く、温める、などをします。

また、痛ければ良いわけではないので、心地良いと感じる刺激量から始めてみましょう

  • [親指]または[人差指・中指・小指の3本の指]を使う。
  • 握りこぶしを作って、[中指の関節]
  • [握りこぶし]または[手の平の側面]
  • [手の平]
  • [ツボ押し棒などのマッサージグッズ]
セルフマッサージ-自分でツボ押し-やり方や方法
図11:自分でツボ押しする際の指の使い方

ツボ刺激のポイント!

  • 強さ:押してイタ気持ちいい程度の強さで、強く押しすぎないようにします。
  • 呼吸:息を吐きながら押して、息を吸いながら押す力を緩めると効果的です。
  • 時間:1つのツボで1分程度。

頭部~首のツボ

  • 百会(ひゃくえ):正中線と左右の耳の先端を結んだ線の交わる部位で、頭頂部のほぼ中央
  • 天柱(てんちゅう):首の付け根の中央にあるくぼみから親指1本分外側にある部位
  • 風池(ふうち):天柱の少し上の外側で、筋肉のさらに外側の陥凹している部位
  • 太陽(たいよう):まつ毛の外側と目尻の中間から、親指1本分の外後方のやや陥凹している部位
  • 角孫(かくそん):耳の一番尖った所で髪の生え際の部位(耳を前方に折り曲げて側頭部に当たる部位)
  • 頷厭(がんえん):額の髪の生え際から1cm程度下のこめかみの部位
  • 懸顱(けんろ):頷厭(がんえん)から親指1本分下の部位
  • 懸釐(けんり):懸顱(けんろ)から親指1本分下の部位
頭痛のツボ(百会-天注-風池-太陽-角孫-太陽-頷厭-懸顱-懸釐)
図12:頭痛のツボ(百会-天注-風池-太陽-角孫-太陽-頷厭-懸顱-懸釐)

肩と足のツボ

  • 肩井(けんせい):首のつけ根(下を向いたときに出る首の後ろの骨)と肩の先(肩峰)のちょうど中間で、乳頭を真上にたどった線上にある部位
  • 曲池(きょくち):肘を直角に曲げたときにできる横じわの線上で、親指側(腕の外側)先端の部位
  • 崑崙(こんろん):外くるぶしの中心(最も高い点)とアキレス腱の中間の部位
  • 三陰交(さんいんこう):内くるぶしから指4本分(人差指~小指)上の骨の際の部位
    ※更年期障害や婦人科系の症状に重要なツボ。ホルモンの変化による頭痛の場合は効果的。

頭痛のツボ(肩井-曲池-崑崙-三陰交)
図13:頭痛のツボ(肩井-曲池-崑崙-三陰交)

頭痛の治療薬

一般社団法人 日本運動器疼痛学会によると、痛みが起きたときに使用する急性期治療薬と、頭痛そのものを起こりにくくする予防薬があります(表5)。

頭痛はれっきとした病気のため、「頭痛ぐらいで…」と我慢せず、日常生活に支障があるなら、専門医(神経内科・頭痛外来・頭痛クリニック)を受診しましょう。

その上で痛みとの付き合い方、つまりセルフコントロール・セルフマネジメントを身につけることが重要になってきます。

表5:頭痛の治療薬(一般社団法人 日本運動器疼痛学会)
急性期治療薬頭痛予防薬
片頭痛❶トリプタン製剤
 血管の拡張と血管の周りの炎症を抑える。
 脳以外の血管への作用は少ない。
❷エルゴタミン製剤(現在では使用されることは少ない)
 血管を収縮させて、起こり始めの頭痛を抑える。
 痛みはじめてからの服用ではあまり効果がない。
 脳以外の全身の血管の収縮作用もある。
❸非ステロイド性消炎・鎮痛薬(NSAIDs)
❶抗てんかん薬 神経細胞の興奮を抑える。
❷抗うつ薬 脳内のセロトニンを上昇させる。
❸カルシウム拮抗薬
 血管反応性調節、神経伝達物質放出抑制など。
❹β遮断薬 カテコールアミン作動神経調整など。
❺抗CGRP抗体
緊張型頭痛非ステロイド性消炎・鎮痛薬(NSAIDs)、筋肉の緊張を緩める薬
 アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、テルネリンなど
※薬の飲みすぎによる「薬物乱用頭痛」には注意が必要です。診断基準は、月に15日以上頭痛があること、市販薬などの
 痛み止めや片頭痛薬のトリプタン・エルゴタミンなどを月に10日(薬によっては15日)以上、3ヶ月を超えて使っているこ
 と、もともと一次性頭痛(多くは片頭痛)があることです。

最後に

本記事では、頭痛が職場に与える影響や頭痛の病因、予防・対策、治療などについて記載してきました。

頭痛は仕事はもちろん生活の質も著しく下げてしまいます。また、外見などでは分からないため職場や家庭からの理解とサポートがあることは大変心強いです。

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