企業内にマッサージサービスを導入するメリットと実施方法

企業内にマッサージ・はりきゅうを導入するメリットと方法

企業における福利厚生の充実は、単なる従業員のモチベーション向上に留まらず、企業全体の競争力や持続的成長を支える重要な要素となっています。
特に、従業員の健康管理は、昨今の「健康経営」や「働き方改革」の流れの中でその重要性がますます増しています。

長時間のデスクワークやリモートワークの増加に伴い、肩こりや腰痛、精神的なストレスが従業員のパフォーマンスに与える影響は無視できません。
こうした問題に対処するため、企業内でのマッサージサービスの導入が注目されているのです。

マッサージサービスは、従業員の身体的な不調を改善するだけでなく、リラクゼーションやメンタルケアを通じてストレスを軽減し、生産性を向上させる効果があります。

本記事では、企業内にマッサージサービスを導入するメリットや具体的な導入方法、成功事例、費用対効果、さらに導入にあたっての注意点を詳しく解説します。

企業内にマッサージサービスを導入するメリット

企業内・オフィス内でマッサージを受ける従業員

従業員の健康と生産性向上

企業にとって従業員は最大の資産であり、その健康状態が企業全体の生産性に直結します。デスクワークや長時間のパソコン作業は、肩こりや腰痛、眼精疲労など、様々な身体的な問題を引き起こします。これらの不調は、業務の効率を低下させるだけでなく、時には長期的な健康問題につながることもあります。

企業内にマッサージサービスを導入することで、こうした問題を予防・改善し、従業員の健康をサポートすることが可能です。

マッサージは、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進することで、身体的な痛みや疲労を軽減します。また、リラックス効果により、ストレスや不安を軽減し、心身のバランスを整える効果も期待できます。

これにより、従業員はリフレッシュし、仕事に対する集中力が向上し、生産性の向上が図られるのです。

離職率の低下と従業員満足度の向上

福利厚生の充実は、従業員満足度に直接影響を与えます。特に、従業員が自身の健康が会社から大切にされていると感じることで、職場への愛着や信頼感が高まり、結果として離職率の低下につながります。

マッサージサービスを導入することは、企業が従業員の健康に対して真剣に取り組んでいることを示す明確なメッセージとなります。

さらに、マッサージサービスは従業員間のコミュニケーションを促進する効果もあります。休憩時間にリラックスした状態で同僚と話をすることで、職場の雰囲気が良くなり、チームの結束力が高まります。

これにより、職場全体の雰囲気が改善され、従業員満足度がさらに向上するという好循環が生まれます。

時間と費用の節約

多くの従業員は、勤務時間外に鍼灸やマッサージなどの店舗を利用していますが、企業内にマッサージサービスを導入することで、その時間と費用を節約することができます。

従業員がオフィス内で手軽にマッサージを受けられるようになるため、通院にかかる時間が削減され、また費用も企業が一部または全額負担することで、従業員個人の負担を軽減できます。

これにより、従業員は仕事に専念しやすくなり、企業全体の生産性向上にも寄与します。

企業イメージの向上と費用計上のメリット

従業員の健康を重視する企業は、社会的にも高い評価を得ることができます。

特に、現在のビジネス環境では、企業の社会的責任(CSR)が重視される傾向にあります。
マッサージサービスの導入は、従業員の健康管理を通じて、企業が社会に対して責任を果たしていることをアピールする良い機会となります。
また、企業が負担するマッサージサービスの費用は、福利厚生費として経費に計上することが可能です。

これにより、税務上のメリットも得られ、企業の経費削減につながる可能性があります。企業が従業員の健康を支援しつつ、経済的なメリットも享受できる点は、大きな魅力です。

マッサージサービスの導入方法

企業内・オフィス内にマッサージを導入・設置する方法

サービスの選定と導入タイプ

マッサージサービスの導入に際しては、企業の規模や従業員のニーズに合わせたサービスを選定することが重要です。

以下のような導入タイプがあります。

  1. オフィス内出張サービス
    週に数回など、外部のマッサージ師をオフィスに招いて施術を行うタイプです。
    従業員が業務の合間に手軽に利用できるのがメリットです。
  2. 専用マッサージルームの設置
    社内に専用のマッサージルームを設け、従業員が自由に利用できる環境を整えます。
    プライバシーを確保しつつ、リラックスした空間で施術を受けることができます。
  3. オンラインセルフケア指導
    リモートワーク中の従業員向けに、オンラインでセルフマッサージやストレッチの指導を行うサービスです。
    物理的な施術は難しい場合でも、健康管理に役立つ指導を提供できます。

福利厚生で導入するための要件

マッサージサービスを福利厚生の一環として導入するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 従業員の公平な利用機会の提供
    全従業員が公平にサービスを利用できるようにすることが重要です。
    特定の部署や職位の従業員のみが利用できるサービスにならないよう、利用機会の平等性を確保します。
  2. 業務時間内での利用の許可
    マッサージサービスを業務時間内に利用できるようにすることで、従業員の健康管理をサポートしやすくなります。
    これにより、従業員が気軽にサービスを利用できるようになります。
  3. 費用負担の明確化
    企業が全額負担するのか、従業員が一部負担するのかを明確にし、事前に従業員に通知します。
    福利厚生費として経費計上するためにも、費用負担のルールを明確に定めておくことが重要です。

導入後の社員の費用負担

マッサージサービスの導入に際しては、企業が費用を全額負担するケースもあれば、従業員が一部費用を負担する形を取る場合もあります。
たとえば、従業員が利用するたびに一定額を支払う「共済方式」や、企業が一定額を補助し、残りを従業員が負担する「補助方式」があります。

どの方式を採用するかは、企業の予算や従業員のニーズに応じて検討すべきです。
従業員の費用負担が発生する場合は、その費用負担が大きすぎないように設定することが重要です。

従業員の健康と福利厚生のために導入されるサービスですので、負担が大きすぎると利用が進まず、効果が十分に発揮されない可能性があります。

導入ステップと稼働率を上げるために必要なこと

マッサージサービスを導入する際には、以下のステップを踏むとスムーズに進めることができます。

  1. 社内のニーズ調査
    従業員に対してアンケートやインタビューを行い、マッサージサービスへの関心度や具体的なニーズを把握します。
    これにより、導入するサービスの方向性が明確になります。
  2. サービス提供者の選定
    信頼性のある鍼灸・マッサージの専門業者を選びます。
    業者選定に際しては、施術者の資格や経験、顧客からの評判を確認することが重要です。
    また、保険や契約条件についても事前に確認しておくと良いでしょう。
  3. 導入スケジュールの策定
    サービスを導入する際には、従業員の業務に支障をきたさないよう、スケジュールを慎重に計画します。
    週に何回提供するのか、施術時間はどの程度にするのかなどを検討し、従業員が無理なく利用できる環境を整えます
  4. 稼働率を上げるための施策
    導入後、サービスの稼働率を上げるためには、従業員に積極的に利用してもらう必要があります。
    これを実現するための施策として、以下の点に注意しましょう。
    オフライン・オンラインでの事前予約制
    従業員が利用しやすいように、オフラインとオンラインでの事前予約制を導入します。
    Web上で予約状況を確認でき、急に時間が空いた際にもすぐにマッサージを受けられる柔軟な運用を可能にします。
    従業員のフィードバックを重視する
    サービス導入後、従業員からのフィードバックを積極的に収集し、サービスの改善や調整に活用します。
    例えば、施術時間や場所に関する要望を取り入れることで、利用者の満足度を向上させることができます。
    定期的な評価と報告
    サービスの効果を定期的に評価し、その結果を社内で共有します。
    特に、健康改善や業務効率の向上に関する具体的なデータを示すことで、従業員のモチベーションを高め、利用を促進します。
  5. 社内周知とトレーニング
    マッサージサービスを導入したら、従業員に向けてサービスの内容や利用方法をしっかりと周知します。
    また、初めてマッサージを受ける従業員向けに、事前に注意点や効果的な利用方法を説明するトレーニングを実施すると、安心してサービスを利用できるようになります。

施術者の資格とリスク管理

マッサージサービスを導入する際には、施術者の資格や経験を確認することが非常に重要です。

施術者には、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の資格を持つ者や、リラクゼーション関連の民間資格を有する者がいます。
企業が導入する際には、国家資格を持つ施術者の起用を推奨します。これは、施術中に起こり得るリスクを最小限に抑えるためです。

また、万が一の事故に備えて、適切な保険に加入している業者を選ぶことも重要です。
施術者の資格や保険加入状況を確認することで、従業員が安心してサービスを利用できる環境を整えることができます。

マッサージサービスに関わる主な資格

国家資格を取得するには、専門学校・大学にて3~4年をかけて専門知識・技術を学び、さらに国家試験に合格する必要があります。

主な資格国家資格民間資格概要
はり師・きゅう師東洋医学にもとづき、「はり・きゅう」を使い、体のツボを刺激することで治療する専門家。効果についてはWHOが43の疾患に鍼灸治療が適応とし、一部の傷病に対しては健康保険の適用も可能。
あん摩マッサージ指圧師東洋医学にもとづき、マッサージ、あん摩、指圧などを駆使して治療する専門家。一部の傷病に対しては健康保険の適用も可能。
柔道整復師急性外傷(骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷など)に対して、手術や投薬などを使わずに整復治療を行う専門家。
理学療法士病気や事故による障害を受けた人に対して、運動療法(リハビリテーション)や物理療法(電気刺激、温熱、マッサージなど)を施し、基本的動作能力の回復を目指す専門家。
整体・リラクゼーション、カイロプラクティック等その他資格指や手(または道具や機器)を使った手技により骨格の歪みを調整することで、身体の不調を改善・身体を癒やす専門家。

※国家資格:3年以上の養成校を卒業し、国家試験に合格する必要がある
※民間資格:多くの民間資格があるが、簡単な講習で取得できるものもある

導入事例

企業内-オフィス内にマッサージルームを導入-設置

Google Japanの事例

Google Japanでは、従業員の健康と生産性向上を目的に、オフィス内にマッサージルームを設置しました。
従業員は業務の合間にマッサージを受けることができ、これにより長時間のデスクワークによる肩こりや腰痛が大幅に軽減されました。
さらに、マッサージサービスはストレス軽減にも寄与しており、従業員満足度の向上に大きく貢献しています。

導入後の評価では、従業員の健康状態が改善されたことで、欠勤率が低下し、生産性が向上したことが確認されています。また、Google Japanでは、定期的に従業員からのフィードバックを収集し、サービスの質を高める取り組みを行っています。

楽天株式会社の事例

楽天クリムゾンハウス内には充実した福利厚生施設があり、鍼灸&マッサージを優待価格で受けることができます。
このサービスは、特に従業員が多忙なプロジェクトの最中に効果を発揮し、業務の合間に短時間でリフレッシュできる手段として人気を集めています。

導入後、従業員のリフレッシュ効果により、仕事の集中力が向上し、特に長時間労働の影響を受けやすい部門での生産性向上が報告されています。
また、マッサージサービスの導入が従業員の満足度を高め、結果的に離職率の低下にもつながりました。

株式会社サイバーエージェントの事例

株式会社サイバーエージェントでは、従業員のストレス管理と健康維持を目的に、オフィスに専用のリラクゼーションルームを設置しました。
このルームでは、従業員が自由にマッサージを受けることができるだけでなく、定期的に健康に関するセミナーも開催されています。

この取り組みにより、従業員のストレスレベルが顕著に低下し、特にクリエイティブ職の従業員の生産性が向上しました。
また、従業員満足度の向上も見られ、社内のコミュニケーションが活性化する効果も得られています。

GMOインターネット株式会社の事例

GMOインターネットでは、福利厚生の一環として「GMO Bali Relax」という社内リラクゼーションサービスを提供しています。
オフィス内に専用のマッサージルームを設置し、従業員が業務の合間にリフレッシュできるようにしています。
これは、従業員の健康維持と生産性向上を目的とした取り組みです。

株式会社コロプラの事例

コロプラでは、「Kuma SPA」という専用のリラクゼーションスペースを設け、そこにヘルスキーパーが常駐しています。
従業員は業務中に簡単にリフレッシュすることができ、ストレス軽減と健康維持に役立っています。

LINEヤフー株式会社の事例

ヤフーは、福利厚生の一環として「ヘルスケアマッサージ」を導入しており、従業員は予約制でオフィス内でのマッサージを受けることができます。
このサービスは、従業員の健康管理をサポートし、欠勤率の低下や離職率の改善にも寄与しています。

LINE ビジネスサポート株式会社の事例

LINE株式会社では、福利厚生の一環として「常駐型」のマッサージサービスを導入しています。
従業員は社内に常駐するマッサージ師から手軽に施術を受けられる環境が整っており、40分500円で利用できるようになっています。
このサービスは特にデスクワークが多い従業員の間で好評です。


企業・法人向け出張施術(マッサージ・はりきゅう)

弊社では、職場の健康課題に合わせた「出張施術(マッサージ・はりきゅう)」を提供しております。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

出張施術(マッサージ・はりきゅう)

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費用対効果の検証

企業内-オフィス内における鍼灸・マッサージの導入効果

プレゼンティーズムへの効果

企業において、従業員が病気やストレスを抱えたまま出勤し、生産性が低下する「プレゼンティーズム」は深刻な問題です。

プレゼンティーズムは、欠勤(アブセンティーズム)よりも見過ごされがちですが、実際には企業にとって大きなコスト負担となります。

マッサージサービスの導入は、従業員の健康を改善し、プレゼンティーズムを軽減する効果があります。
例えば、肩こりや腰痛などの身体的な不調を解消することで、従業員が集中力を取り戻し、仕事の効率を向上させることが可能です。

プレゼンティーズムが減少することで、従業員のパフォーマンスが向上し、結果として企業の生産性が向上します。
これにより、従業員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境が整い、企業全体の競争力が高まります。

投資対効果(ROI)の計算

マッサージサービスの導入には、初期費用や運用コストが発生しますが、その効果は企業にとって非常に大きいものとなります。
ROI(投資収益率)を計算することで、マッサージサービスがどれほど企業に利益をもたらすかを明確にすることができます。

たとえば、ある企業では、マッサージサービス導入後に年間の病欠日数が10%減少し、その結果、病欠にかかるコストが大幅に削減されました。
また、離職率の低下により、新たな採用や教育にかかるコストも削減され、総合的なコスト削減効果がサービス導入費用を上回ったというデータがあります。
これにより、企業は導入費用に対するROIが高く、長期的なコスト削減と競争力強化につながることがわかります。

さらに、プレゼンティーズムの改善による生産性向上もROIに大きく寄与します。
従業員が健康で高いパフォーマンスを維持できる環境を提供することで、企業全体の収益が向上し、結果としてマッサージサービスへの投資が大きなリターンを生むことが確認されています。

長期的な視点での投資

短期的なコストだけでなく、長期的な視点での投資としてもマッサージサービスは非常に効果的です。

従業員の健康状態が良好であれば、業務効率や生産性が向上し、企業全体のパフォーマンスが向上します。
また、従業員が長期的に健康で働き続けることができれば、人材の定着率も向上し、結果として企業の競争力が高まります

さらに、企業が従業員の健康管理に積極的に取り組む姿勢は、社会的な評価にもつながります。
CSR(企業の社会的責任)の一環として、従業員の健康を重視する企業は、取引先や顧客からの信頼を得やすく、ブランド力の向上にも寄与します

(参考)

プレゼンティーズム・アブセンティーズムなど生産性の可視化、ROIについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

さいごに

企業内-オフィス内におけるマッサージの導入で生産性の向上

企業内にマッサージサービスを導入することは、単なる従業員の福利厚生の充実にとどまらず、企業全体の生産性向上やブランドイメージの向上にもつながる重要な施策です。

プレゼンティーズムの改善や高いROIを実現することで、企業は長期的なコスト削減と競争力強化を図ることができます。

マッサージサービスの導入を成功させるためには、企業のニーズや従業員の働き方に合わせた適切なサービスを選定し、リスク管理を含めた運用体制をしっかりと整えることが不可欠です。

従業員の健康を大切にする企業としての姿勢を示し、企業の未来を切り拓くための一歩を、今こそ踏み出しましょう。

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